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神戸地方裁判所 昭和32年(ワ)405号 判決

原告 名方大介 外一名

被告 国

訴訟代理人 大久保敏雄 外四名

主文

原告等の請求を棄却する。

訴訟費用は原告等の負担とする。

事実

原告等訴訟代理人は、「被告は原告名方大介に対し、金一、六一一、一七五円及びこれに対する内金三八三、〇〇〇円については昭和三二年五月二三日より、内金九六五、六七〇円については昭和三四年九月一六日より、内金二六二、五〇五円については同年一〇月一五日より右完済に至るまで年五分の割合による金員の支払をせよ。被告は原告名方大介に対し金三三〇、七四〇円を、将来原告大介の被告に対する後記四(一)(4) の贈与税の各納税期の到来する毎にその納税相当額について支払をせよ。被告は原告名方平二に対し金六二、〇〇〇円、及びこれに対する昭和三二年五月二三日より右完済に至るまで年五分の割合による金員の支払をせよ。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決、並びに仮執行の宣言を求め、その請求の原因として、次のとおり陳述した。

一、訴外明石税務署長は原告名方平二が昭和二五年六月二〇日別紙目録記載の不動産(以下本件物件と略称する)を原告名方大介に贈与したものと認めて昭和二八年三月七日原告大介に対して贈与税八六二、五〇〇円、及び無申告加算税二一五、五〇〇円を賦課し、同月五日原告平二に対して資産再評価税二八、一一〇円、及び無申告加算税七、〇〇〇円を賦課した。

二、原告大介は右贈与税等の課税につき、同月一八日同税務署長に異議申立書と題する書面を提出して同原告に対する右課税処分の再審査請求をしたが、即日同税務署資産税係長佐々木裕が電話で請求を却下する旨の内意を伝えたので、同原告は同月二一日念のため「再調査申請書」と題する書面を提出した。ところが右再調査請求は同年四月一六日取下による終結処分に付された。そこで原告大介は昭和二九年八月九日同税務署長を被告として神戸地方裁判所に再調査請求法律関係存在確認の訴(同裁判所昭和二九年(行)第二七号事件)を提起し、後に終結処分無効確認の訴に変更したが、請求を棄却され、大阪高等裁判所に控訴(同裁判所昭和三〇年(ネ)第七一四号事件)したところ、控訴を棄却されたので最高裁判所に上告(最高裁判所昭和三二年(オ)第五八一号事件)したが昭和三四年五月二九日上告を棄却された。

三、原告平二は右資産再評価税等の課税につき、昭和二八年三月三一日大阪国税局長に同原告に対する右課税処分の審査請求をしたが、昭和三〇年六月一五日棄却されたので、同年七月四日同国税局長を被告として、大阪地方裁判所に右審査決定の取消訴訟(同裁判所昭和三〇年(行)第五一号事件)を提起したところ、その係属中に明石税務署長は本件物件の贈与の日が登記簿上昭和二五年三月二〇日であるため、資産再評価法附則第四項により課税できないことを理由に右課税処分を取消したので、同原告は訴を取下げた。

四、しかしながら原告平二は本件物件を所有したことがなく、従つて原告大介は原告平二から贈与を受けた事実もないから、本件課税処分は夫々違法である。また、原告大介は前記再調査請求を取下げたことはない。

(一)、原告大介関係について

原告大介は昭和二八年四月一六日午後三時半頃納税のため、明石税務署に出頭し、同税務署資産税係長佐々木裕にその旨を告げ同係長と共に署長室で公庄署長に納税の挨拶をし、隣室の管理係室で贈与税の延納並びに原告平二の資産再評価税の納税手続をして帰宅したのみであり、原告大介が同日佐々木係長に対し自己の贈与税及び原告平二の資産再評価税に対する各不服申立につき、取下書と題する書面に署名押印したことがなく、従つて右贈与税の再調査請求を取下げた事実がない。

しかるに、前記佐々木係長は故意に何人かに原告大介名義の前記再調査請求の取下書を偽造させ、あたかも同原告が真意に基いて取下書を提出したかのように行使して事務を処理し、同税務署長をして不法に、取下による終結の決定をさせ、ついに、原告大介をして違法な課税処分を受けるに至らしめた(右佐々木係長の過失による不法行為は主張しない)

その結果原告大介は次の(1) ないし(3) の損害を受けまた将来(4) の損害を受けることとなつた。

(1)  弁護士手数料として

前記神戸地方裁判所昭和二九年(行)第二七号事件につき

金一〇、〇〇〇円

前記大阪高等裁判所昭和三〇年(ネ)第七一四号事件につき

金一五、〇〇〇円

前記最高裁判所上告事件につき 金八、〇〇〇円

合計金三三、〇〇〇円

(2)  違法な課税により被つた精神的損害

金三〇〇、〇〇〇円相当

(3)  右課税処分が執行力をもつため納税義務がないのに昭和三四年三月末日までに納税した金員総額

金一、二七八、一七五円

右の内、本税金      金五三一、七六〇円

利子税          金五三〇、九一五円

無申告加算税       金二一五、五〇〇円

(4)  本税額金八六二、五〇〇円より右既納額金五三一、七六〇円を控除した額、金三三〇、七四〇円

この金額については昭和三五年三月末日から同三八年三月末日まで毎年三月末日に分納することの許可を得ているから、その納期毎にその分納額相当の損害を受けることになる。

以上(1) ないし(4) 合計金一、九四一、九一五円

右損害は被告の公権力の行使に当る公務員たる前記佐々木裕が、その職務を行うについて故意に、違法に原告大介に加えた損害ないし将来原告大介に加える損害であるから被告はこれを賠償する責任がある。よつて原告大介は被告に対し、本訴において既に被つた右(1) ないし(3) の損害金合計金一、六一一、一七五円の賠償と、これに対する内金三八三、〇〇〇円については訴状送達の翌日である昭和三二年五月二三日より、内金九六五、六七〇円については昭和三四年八月二五日付請求の趣旨並びに原因変更申立書送達の翌日である昭和三四年九月一六日より、内金二六二、五〇五円については昭和三四年一〇月二七日付請求の趣旨並びに原因変更申立書送達の翌日である同年一〇月一五日より右完済に至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金、将来被るべき右(4) の損害金三三〇、七四〇円については原告大介の被告に対する右贈与税の右各分納税期の到来する毎にその納税相当額の支払を求める。

(二)、原告平二関係について。

原告平二は本件不動産を所有したことがないのに、明石税務署長は原告平二が本件物件を阿部三郎より買受け所有権を取得したと認定して前記資産再評価税の課税処分をした、しかしながら明石税務署長が右のような認定をするためには当然原告平二にも事情をたづねるべきにかかわらず、これをなさないで右のような誤認をして違法な課税処分をしたことは明石税務署長に過失が存する。仮りに、原告平二が本件物件を買受け、更に原告大介に贈与した事実があつたとしても、右贈与の日が昭和二五年三月二〇日であることは登記簿により明かであるから資産再評価法附則第四項により再評価税を課税できない。しかるに明石税務署長は不注意から右贈与の日を同年六月二〇日と誤認して課税処分をしたのであるからこの点においても同署長に過失がある。なお、原告大介は佐々木係長に自己名義に取得登記がなされた日が昭和二五年六月二〇日と言明した事実は全然ない。

右違法な課税処分の結果、原告平二は次の損害を受けた。

(1)  前記大阪地方裁判所昭和三〇年(行)第五一号事件につき、

(イ) 弁護士手数料 金二、〇〇〇円

(ロ) 謝金 金一〇、〇〇〇円

(2)  違法な課税により受けた精神的損害 金五〇、〇〇〇円相当以上合計金六二、〇〇〇円

右損害は被告の公権力の行使に当る公務員たる明石税務署長が職務を行うについて過失によつて違法に原告平二に加えた損害であるから被告はこれを賠償する責任がある。よつて原告平二は被告に対し本訴において右損害金合計金六二、〇〇〇円の賠償と、これに対する訴状送達の翌日である昭和三二年五月二三日より右完済に至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

被告指定代理人は主文同旨の判決、及び被告敗訴のときは仮執行の免脱を求め、その答弁として、原告等主張事実中、一ないし三の各事実は認めるが、原告等主張の損害額は知らない。その余の主張事実は争う。なお原告大介の納税額の合計は本税金五五二、八六〇円、利子税金五二三、〇〇〇円、無申告加算税金二一五、五〇〇円で、納税総額は金一、二九一、三六〇円であり、延納許可により未納税額は金三〇九、六四〇円である。

(一)、原告大介関係について。

原告大介主張のように佐々木係長が同原告の再調査請求について同原告名義の取下書を偽造したということはない。原告大介の再調査請求は、同原告自から昭和二八年四月一六日明石税務署に出頭し、佐々木係長の面前で「再調査請求等取下げについて」と題する書面に自分で日付を書き入れ、署名押印した上、提出して、これを取下げたものである。従つて右佐々木係長に違法行為は存しないので、被告にはこれを賠償する責任がない。

(二)、原告平二関係について。

原告平二は昭和二三年六月二六日本件物件を妻名方美弥名義で前所有者阿部三郎から買受け、その登記をしないままでこれを原告大介に贈与し、阿部から原告大介名義に所有権移転登記手続をしたのである。

仮りに百歩ゆずつて原告大介が本件物任を買受けたことも、これを贈与したこともなかつたとしても原告平二に対する右課税処分について明石税務署長には過失はない。すなわち、(1) 本件物件について前所有者阿部三郎と原告平二の妻美弥との間の昭和二三年六月二六日付売買契約書が存在し、(2) 右売買契約に先立つて原告平二が本件家屋の下見分に行き阿部三郎と面談しており、かつ阿部三郎から明渡を受けた後は原告平二夫婦がこれに居住していた。(3) 美弥には自分で本件物件を買受ける資力はない。(4) 昭和二五年に前記阿部から原告平二の実子である原告大介に所有権移転登記手続がされている。(5) 所有権移転につき原告大介から対価が支払われていない。以上の事実により本件物件は原告平二が妻美弥の名義で阿部三郎より買受け、原告大介に贈与したが、登記は中間省略をしたものと推認するのが自然の判断であるから、明石税務署長が右のとおり認定して課税処分をしたことには過失はない。

原告平二は、明石税務署長が右贈与を昭和二五年六月二〇日と誤認したことにも過失がある旨主張するが、これは原告大介が自己の名義に登記されたのは、右六月二〇日であると言明したことを信用したことによる。その際登記簿により調査しなかつたからといつて不注意ありということはできない。明石税務署資産税係が取扱う資産移動件数は少くとも年間三〇〇件程度であるのに、課税事務を取扱うものはわずか三名ないし五名である。従つて各個の資産移動につき登記簿を閲覧し、若しくはその謄本を請求することは事実上不可能であるし、また登記簿も一資料にすぎず、結局は納税者に対する直接の調査をなし、登記の点に争いある場合にのみ登記簿の閲覧等によりその事実を調査すれば足りる。原告大介名義に所有権移転登記手続を経由していることは当時原告等にも争いなく、かかる場合その所有権移転の日時を原告大介にたずねてその供述を得ることは正当で、その原告大介の申立により前記日時における贈与を認定したことになんの過失もない。

従つて明石税務署長の前記賦課処分に何等過失とすべき点がないから、被告にはこれを賠償する責任がないと陳述した。

立証〈省略〉

理由

一、原告主張の請求原因一ないし三の事実は当事者間に争がない。

二、原告名方大介の請求について。

まず原告大介の贈与税に対する再調査請求につきなされた取下書が明石税務署資産税係長佐々木裕によつて偽造されたものであるか否かについて判断する。

原本の存在及びその成立に争いがない甲第一号証原本の写真であることについて争いのない同第四三ないし第四六号証成立に争のない甲第四八号証中の証人佐々木裕に対する尋問調書及び原告本人名方大介に対する尋問調書の一部(後記採用しない部分を除く)、同甲第五一号証中、証人佐々木裕に対する尋問調書、控訴本人名方大介に対する尋問調書(但し、後記採用しない部分を除く)、同乙第一ないし第五号証、原本の存在及びその成立に争のない乙第七号証の三、証人米田米吉、佐々木裕の各証言を総合すれば昭和二八年四月一六日原告大介自から明石税務署に出頭した際、佐々木資産税係長に対し、右再調査請求は取下げたいがついては贈与税についてはなにぶん分割納付の配慮を願いたい旨を申出たので、同係長は階上の署長室で公庄同税務署長に面会させた。そこで同署長は署員に右贈与税の延納の取計方を命じたので、原告大介は右面接後にその延納手続をするため「相続税延納申請書」と題する書面(甲第四四号証はその写真)に自己の署名押印をして提出し、更に前記佐々木係長の文案になる「再調査請求等取下げについて」と題する書面(甲第四三号証はその写真)に同原告が自から日付を「拾六」と記載し、氏名を「名方大介」と署名して、押印した上、これを提出し、同原告に対してなされた前記贈与税の賦課処分に対する同原告の前記再調書請求について取下げの意思表示をしたこと、を認定することができる。甲第四八号証中の原告名方大介に対する尋問調書、甲第五一号証中証人名方平二に対する尋問調書、控訴本人名方大介に対する尋問調書、乙第七号証の七並びに原告両名本人尋問の結果のうち、右認定に反する各部分は採用することができず、他に右認定を覆えし、原告主張の偽造の事実を認めるに足りる証拠はない。

すると明石税務署員佐々木裕が原告大介の贈与税再調査請求書の取下書を偽造したことを前提とする原告の本件国家賠償の請求は、爾余の判断をまつまでもなく失当である。

三、原告名方平二の請求について。

原告平二は、同原告は本件物件を所有したことなく、従つてこれを被告大介に贈与したことはないのにかかわらず、明石税務署長は過失により、原告平二が本件物件を阿部三郎より買受けたと誤認して同原告に対し違法に資産再評価税を賦課した、仮に原告平二において本件物件を買受け、原告大介に贈与した事実があつたとしても、右贈与の日は昭和二五年三月二〇日であるから資産再評価税を賦課することはできないのにかかわらず、明石税務署長は過失により右贈与の日を同年六月二〇日と誤認して違法に右課税処分をしたと主張するので判断する。

証人佐々木裕の証言、原告大介の本人尋問の結果によると、原告平二に対する右課税処分前、明石税務署資産税係長佐々木裕は、右事実関係調査のため、しばしば原告大介と面接し、本件物件の売買契約書(甲第九号証)等の書類を閲覧し、又右売買契約書に買主として記載されている原告平二の妻名方美弥及びその代理人として記載されている菅郁蔵、並びに原告平二の資産状態等を調査した結果、明石税務署長は、原告平二において妻美弥名義で本件物件を昭和二三年六月二六日所有者阿部三郎から買受け、同二五年一月一日においてこれを所有していたものと認定したことを認めることができるところ、原本の存在及び成立に争のない甲第二号証、第三号証、第一七号証の各一部、成立に争のない甲第九号証、第二三号証、証人阿部三郎の証言、原告両名の各本人尋問の結果の一部を総合すると、本件物件を前所有者阿部三郎が売却する直前に同人と原告平二との間に右物件につき売買の交渉があつたこと、本件物件の昭和二三年六月二六日付売買契約書(甲第九号証)には原告の妻名方美弥が買主として表示されているが、同人が本件物件を買受けたものでないこと、右契約書に買主名方美弥の代理人として表示されている菅郁蔵は原告平二の娘婿であること、原告平二夫妻は昭和二三年一二月五日から同二七年五月三一日まで本件家屋に居住していたが、賃料を支払つていないこと、本件物件について昭和二五年三月二〇日阿部三郎から原告大介名義に、更に同二七年五月二三日原告大介から石田益三にそれぞれ所有権移転登記がなされているが、右登記は原告平二が自らその手続をしたこと、本件物件が石田益三に売却された際原告平二が一旦その代金を受取り自己の名義で銀行預金をしていることを認定することができ、右認定を動かす証拠がなく、これらの認定事実によると、右税務署長の認定のように、本件物件は原告平二において昭和二三年六月二六日阿部三郎から買受け、資産再評価法(改正前のもの)所定の基準日である昭和二五年一月一日においてこれを所有していたものと推認できないことはないのであるから、仮に真実原告平二が右買受けたことがないとしても、明石税務署長が右のように認定したことについて過失があるということはできない。

しかしながら前記甲第二三号証(本件不動産の登記簿謄本)には、原告大介の所有権取得の日は昭和二五年三月二〇日と記載され、同日その取得登記がなされた旨明記されており、資産再評価法(改正前のもの)付則第四項同法第三六条によれば基準日(昭和二五年一月一日)後同年三月三一日以前に贈与があつた場合には贈与者には資産再評価税を賦課することはできないのであるから、明石税務署長が原告大介の本件物件の所有権取得原因を原告平二からの贈与と認定しながらその贈与の日を昭和二五年六月二〇日と誤認し原告平二に資産再評再税を賦課したのはこの点において明石税務署長の過失による違法の課税処分といわざるを得ない。被告が右贈与の日が誤認された理由として主張する事実は右過失の認定を覆す事由とならない。従つて明石税務署長が右贈与の日を誤認して右違法な課税処分をしたことにより、原告平二が被つた損害について、被告は国家賠償法第一条第一項により原告平二に対しその賠償をするべき義務がある。

そこで原告平二の主張する損害について判断する。

(一)  原告平二はまず右課税処分に対する不服の訴である大阪地方裁判所昭和三〇年(行)第五一号事件において弁護士に支払つた手数料二、〇〇〇円及び謝金一〇、〇〇〇円を右違法な課税処分によつて被つた損害であると主張する。しかしながら右訴訟事件において原告平二が弁護士に手数料及び謝金を支払つたことによる損害は、明石税務署長の右違法な課税処分によつて生じた損害ということはできないから、右主張は採用できない。

(二)  次に、原告平二は右違法な課税処分により金五〇、〇〇〇円相当の精神上の損害を被つたと主張するけれども、明石税務署長が原告平二において基準日に本件物件を所有していたと認定したことに過失がないこと前記認定のとおりであり、前記甲第二号証、第四四号証、原告両名本人尋問の結果及び弁論の全趣旨によると、原告大介名義の本件取得登記の日が昭和二五年三月二〇日であつて、明石税務署長の前記贈与の日の認定に誤があることについては、同税務署長が前記訴訟の係属中に不動産登記簿上右贈与の日の認定に誤があることを理由に右課税処分を取消すまでは、原告平二においてもこれに気がつかなかつたことが認められ、これらの事実によると、原告平二は右違法な課税処分により、賠償を求めるほどの精神的損害を被つたものと認めることができない。従つて右主張も理由がない。

すると結局、右違法な課税処分によつて原告平二の被つた損害についてはこれを認めることはできないから、同原告の本件損害賠償の請求は理由がない。

四、よつて、原告等の本訴請求はいずれも失当として棄却し、訴訟費用の負担について民事訴訟法第八九条第九三条を適用し、主文のとおり判決する。

(裁判官 村上喜夫 清水嘉明 藤原弘道)

物件目録〈省略〉

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